2014年6月7日土曜日

登録枠から考えるチェルシーの夏の補強 Part1

 ランプスの退団が決まり、アッシュの退団も決定的となった今、登録枠という観点から移籍市場を眺めてみようと思う。

 前置きとして、登録枠について説明しておく。登録枠はプレミア、CLともに25人。ここにそれぞれのホームグロウン制度が関わってくる。

 まずは、プレミアリーグにおけるホームグロウン制度。これは、選手登録枠25人のうち、21歳の誕生日を迎えるまでに(もしくは、21歳を迎えるシーズン終了時までに)36か月または満3シーズン、FAもしくはウェールズFAに属するいずれかのクラブに在籍していた選手を原則8人以上含めなくてはならないというもの。なお、国籍は関係なく、36ヶ月というのは連続である必要もない。つまり、25人の内訳はHG適用外の選手が最大17人、25人に達するまでの残りは全てHG適用の選手ということになる。

 もう一つが、チャンピオンズリーグにおけるもの。これは、登録枠25人のうち21歳の誕生日を迎えるまでに36ヶ月以上国内に在籍した選手を原則8人以上含めなくてはならないという規則に加え、国内育成8人のうち、21歳の誕生日を迎えるまでに36ヶ月以上そのクラブに在籍した選手を原則4人以上含めなくてはならないという2段階のものだ。

 つまり、イングランド国内で育った選手を8人登録した上で、そのうち4人はチェルシーに一定期間在籍している必要があるということだ。これも、国籍は関係なく、期間も連続している必要はない。登録枠25人の内訳はHG適用外の選手が最大17人、HG適用選手が最低8人かつそのうち自クラブ育成選手が最低4人、ということになる。

 プレミア、CLのいずれも、該当項目を満たす選手が足りない場合は不足分を登録枠25人から削らなくてはならない。例えば、HG適用選手が2人足りなかったら23人しか登録できないことになる。

 また、プレミアリーグでは21歳以下の選手は登録する必要はなく、人数無制限で試合で起用できる。一方で、チャンピオンズリーグでは21歳以下かつ24ヶ月以上そのクラブに在籍した選手は登録する必要はない(いわゆる、Bリストの選手)。プレミアよりすこしきつい条件になってる。


 ここまでで分かりにくいよバカヤロー!って人もいると思うので、今まで書いてきたことを箇条書きでまとめるとこんな感じ。

☆ホームグロウン制度って?
・21歳になるまでにイングランドorウェールズに36か月以上在籍した選手に、ホームグロウンの資格が与えられる。
・国籍は関係なく、36か月は連続でなくてもいい。

☆プレミアリーグの登録枠の決まりごと
・HG適用外の選手は最大で17人まで登録できる。
・HG適用の選手を最低で8人は含めなければならない。
・HG適用選手が8人に満たない場合、不足分の人数が欠員枠として削られることになる。
・そのシーズンの1月1日時点で21歳未満の選手は登録する必要がなく、無制限で起用可能。

☆CLの登録枠の決まりごと
・HG適用外の選手は最大で17人まで登録できる。
・HG適用の選手を最低で8人は含めなければならない。
・HG適用選手のうち、21歳になるまでに自クラブで育成した選手を最低で4人含めなければならない。
・21歳以下でかつ24カ月以上そのクラブに在籍した選手は、登録する必要がなく、無制限で起用可能(いわゆるBリスト)。



 前置きが長くなってしまったが、ひとまず、13-14シーズンのチェルシーの登録枠を振り返ろうと思う。

✳︎プレミアリーグ
[登録選手]
1 ペトル・チェフ
2 ブラニスラブ・イヴァノビッチ
3 アシュリー・コール HG
4 ダビド・ルイス
5 マイケル・エッシェン(〜1月)
7 ラミレス
8 フランク・ランパード HG
9 フェルナンド・トーレス
10 フアン・マタ(〜1月)
11 オスカル
12 ジョン・オビ・ミケル
14 アンドレア・シュールレ
15 ケビン・デ・ブライネ(〜1月)
17 エデン・アザール
19 デンバ・バ
21 ネマニャ・マティッチ(1月〜)
22 ウィリアン
23 マーク・シュウォーツァー
24 ガリー・ケイヒル HG
26 ジョン・テリー HG
28 セサル・アスピリクエタ
29 サミュエル・エトー
34 ライアン・バートランド(〜1月) HG
40 イラーリオ
49 ジョン・スウィフト ※U21のため登録する必要はないが1月から登録されていた模様

[登録不要の選手]
15 モハメド・サラー(1月〜)
16 マルコ・ファン・ヒンケル
27 ネイザン・アケ
33 トーマシュ・カラス
46 ブラックマン

合計
 〜1月: 22人(HG5人 欠員枠3)
1月〜: 21人(HG4人 欠員枠4)


✳︎チャンピオンズリーグ
[登録選手]
1 ペトル・チェフ
2 ブラナスニフ・イヴァノビッチ
3 アシュリー・コール HG
4 ダヒド・ルイス
7 ラミレス
8 フランク・ランパード HG
9 フェルナンド・トーレス
10 フアン・マタ(〜1月)
11 オスカル
12 ジョン・オビ・ミケル
14 アンドレア・シュールレ
15 ケビン・デ・ブライネ(〜1月)
16 マルコ・ファン・ヒンケル
17 エデン・アザール
19 デンバ・バ
22 ウィリアン
23 マーク・シュウォーツァー
24 ガリー・ケイヒル HG
26 ジョン・テリー 自クラブ育成
28 セサル・アスピリクエタ
29 サミュエル・エトー
33 トーマシュ・カラス(1月〜)
34 ライアン・バートランド(〜1月) HG
40 イラーリオ(1月〜)

[登録の必要のない選手]
46 ブラックマン

合計
〜1月: 22人(HG5人、自クラブ育成1人  欠員枠3)
1月〜: 21人(HG4人、自クラブ育成1人  欠員枠4)


 このように、チェルシーはHG選手が足りないためにプレミア・CLの両方で登録枠を埋めきれていないのが現状だ。CLにいたっては、自クラブ育成選手はテリーのみで、プレミアで登録の必要がなかったファン・ヒンケルを登録したことでエッシェンが登録外となった。また、イラーリオは冬にマタなどの放出により枠が空いたため冬から登録されている。

 13-14シーズンは夏に結構補強したように見えたし、2チームスタメンが組めるスカッド、だなんて言われたが登録枠から考えると選手層はそこまで厚くなかったのだ。つまり、チェルシーは登録枠によって現有スカッドを最大限活かしきれなかったとも言える。CLからエッシェンが漏れたことで、エッシェンが構想外なんて声もあったが、枠の都合で仕方なく外さざるをえなかっただけだ。

 限られた登録枠の中で、4つのコンペティションを戦わなくてはいけないのがチェルシー。登録枠という観点で見ると、選手層を厚くする方法は以下が挙げられる。

・ホームグロウン適用選手を増やし、欠員枠を出さない
・U-21の選手など登録不要の選手をうまく利用する


 こういった観点から、14-15シーズンに向けて夏の移籍市場を考えてみる。Part2(リンク)へ続きます。

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