クロアチア 1-0 ウクライナ
得点者:N.カリニッチ
GK:スバシッチ
DF:イェドヴァイ、ミトロヴィッチ、ヴィダ、ピヴァリッチ
MF:バデリ、モドリッチ
ブロゾヴィッチ、ラキティッチ、マンジュキッチ
FW:N.カリニッチ
ラキティッチ→コヴァチッチ
N.カリニッチ→クラマリッチ
ブロゾヴィッチ→ログ
大きな勝利でした。試合内容は正直満足のいくものではありませんでしたが、とにかく勝つことがまずは一番。
そして何より、何事もなく90分を終えられたこと。後述しますが、これが何よりうれしかったし安心しました。
先制点をもぎとったのは、この日1トップとして起用されたN.カリニッチ。DFを背負いながらラキティッチからボールを受けると、ワンタッチで反転しコースを作るとともに即座にゴールマウスへ蹴り込む素晴らしい得点でした。
守備陣も危ない場面を作られる回数は決して少なくありませんでしたが、ヴィダとスバシッチの奮闘により無事クリーンシートを達成することに成功。特にヴィダはチョルルカのいないDFラインでリーダーシップを発揮し、非常に頼れる存在となっていました。
逆に不安を感じさせたのが、左SBを務めたピヴァリッチ。守備においてマークを外したり振り切られたりする場面が多発し、チームの左サイドをたびたび困難に陥れる存在となってしまっていました。
原因は彼がいまだに国内リーグに属していることであり、国内レベルでは現時点での彼の守備スキルでも対応できてしまいます。この世界と国内のレベルの解離が彼の成長を阻んでおり、また代表にとって左SBは長年の懸念ポジションであることから、早く国外移籍に挑んでほしいなと思っています。
ところで、この試合はクロアチアにとって約1年ぶりに無観客でないホーム開催試合となりました。そして、2013年のセルビア戦以来じつに4年ぶりにチケットがほぼ完売、スタジアムがファンで埋まる試合となりました。ハーフタイムには、クロアチア人男性がウクライナ人の女性にプロポーズするというイベントまで行われるほど。
雰囲気、とてもよかったです。1プレーごとに声が沸き、映像を見ている側としても観客の存在が観戦にこれだけのメリハリを与えるのかと改めて知ることになりました。一方で、度重なる無観客試合を見続けてきただけにこの光景が当たり前のものでないという事実に悲しみが禁じえなかったのも事実です。
この試合でも、反サッカー協会派による暴動が計画されていたようです。しかし、サッカー協会と当局は延べ1000人以上の警官や警備員を動員したらしく、その甲斐もあって無事何事もなく終わりました。
これに関連して、少しフーリガニズムの話を。フーリガニズムの背景には様々な問題が原因として存在し、それは時にスポーツから逸脱したものとなっています。クロアチアで言えば内なる敵と呼ばれる反サッカー協会派によるものが主ですが、民族問題や歴史上の対立などによるものも存在します。
フーリガニズムは許容されるべきものではありません。しかし、犯罪者がこの世からいなくなることはないようにフーリガンがいなくなることもないでしょう。だからこそ、フーリガンに行動させなくする努力が必要であり、それによって「フーリガニズムはなくなった(ように見せる)」ことが大事になってきます。
では、その努力は該当国のみに課せられるべきでしょうか?クロアチアが問題を起こせば「クロアチアは一体どうなっているんだ」と非難の声が挙がります。しかし、それだけでいいのでしょうか。
1つ例を挙げましょう。昨年フランスで行われたEURO2016のチェコ戦において、クロアチアは大きな問題を起こしました。そしてクロアチアに対して多額の罰金処分が課され、一時は失格も噂されました。
さて、悪いのはクロアチアだけなのでしょうか?スタジアムの運営、大会の運営には問題はなかったのでしょうか?
この試合で暴動を起こした実行犯の多くはハイドゥク・スプリトのサポーター『トルツィダ』とされています。そして、このトルツィダはこの試合の会場となったサンテティエンヌのサポーターと良好な関係にあり、彼らがトルツィダのスタジアム入りをサポートしたと言われています。
また、クロアチア当局は事前に犯行計画を掴んでおりUEFA、フランス当局に情報提供するとともに現地での協力を申し出ていました。しかしながら、フランス当局は現地での協力を退け、さらにクロアチア側のブラックリストに載っていた多く実行犯のスタジアム入りを現場判断で許していました。現地でのインタビューに答えたサポーターも「他の試合に比べ明らかに警備が緩かった」と証言しています。
それでも、処分を受けたのはクロアチアのみなのです。いくら運営に問題があろうとも、大会を運営するのはほかでもないUEFAであり、UEFAを処分する組織は存在しません。このように、フーリガニズムを根絶する努力は該当国任せになっているように感じられます。
今回の代表ウィーク中に行われたイタリアvsアルバニアで起きた発煙筒騒ぎにも同じことが言えます。アルバニア側に直接の原因があるのは明らかであり非難されるべきですが、イタリア側にも原因はなかったのでしょうか?
2010年にはジェノバで行われたセルビア戦で暴動により試合中止に追い込まれました。2014年にはミラノで行われたクロアチア戦で同じく暴動により試合が一時中断となりました。
すべて旧ユーゴの国が相手の試合です。同じことを繰り返させないよう、過去から学び何かしらの対策を講じることはできなかったのでしょうか。
繰り返しますが、フーリガニズムは許容されるべきではありません。しかし、フーリガンを抑制する努力が該当国に押しつけられているようでは、いつまでもフーリガンによる暴動がなくなることはないと考えます。フーリガニズムを制する努力だけではなく、フーリガニズムの存在を前提としたうえでその表在化を抑止する努力にもスポットがより当てられるべきだと私は考えています。
<寸評>
スバシッチ
クリーンシートに大きく貢献
イェドヴァイ
ヴルサリコやスルナとはタイプが異なり、自身の強みとチーム戦術が噛み合わなかった印象
ミトロヴィッチ
可もなく不可もなく
ヴィダ
ディフェンスの柱として大きな存在感
ピヴァリッチ
チームの穴に。代表のためにもステップアップを
バデリ
この日は存在感薄かった
モドリッチ
主将として攻撃を牽引するも、以前よりボールロストが増えた?
ブロゾヴィッチ
RSBのイェドヴァイと噛み合わず
ラキティッチ
らしくないプレーに終始
マンジュキッチ
いつも通りに大きい守備貢献度と、いつも通りにモノにできない決定機
N.カリニッチ
素晴らしいゴールで勝利をもたらした。このままレギュラー奪取を!
チャチッチ監督
相変わらず選手交代が遅い
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