・ジョン・ストーンズ問題
チェルシーは6月からストーンズ獲得に動いており、4度のオファーを提出。ケイヒルやテリーなど選手やOBなどのコメントによってメディアもフルに利用し、獲得に全力を注いできた。しかし、全てのオファーを断られ、マルティネス監督はSkyの番組でメディア戦略に不満を露わにし、ケンライト会長直々に非売品だと宣言されてしまった。
では、なぜここまでストーンズに執心なのだろうか。私は、この補強はストーンズでなくてはならないから、だと考える。
ストーンズ獲得の名目は「JTの後継者」である。 英国産の高水準な能力を備えた有望株、彼を獲得することは、徐々に衰えゆくJTと伸び盛りのストーンズによる世代交代が可能になる。プランBと言われるガライは28歳であり、短期的に見れば選手層を厚くする補強となるが、長期的に見たとき世代交代を意味する補強ではなく問題を先送りするだけだ。さらに言えば、ストーンズクラスのCBが英国から(=ホームグロウンプレイヤーとして)次にいつ出てくるのか、という懸念も生じる。
総合的に見れば、ストーンズ獲得は様々なニーズを満たす補強であり、多額の移籍金を費やしてでも獲得したい、ストーンズではなくてはならない補強ということになるのだ。
また、移籍金が高騰する要因として、HG選手である他にバーンズリーが持つ移籍条項がある。ストーンズは2013年にバーンズリーからエヴァートンに移籍したが、この際に「次回移籍金の15%をバーンズリーが得る」という条項が存在すると報じられている。これが事実ならば、エヴァートンが4000万ポンドを得たい場合は約4700万ポンドが必要ということになる。
ストーンズ本人は元々チェルシーへの移籍に前向きと報じられており、このチャンスを逃すまいとトランスファー・リクエストを提出した。ストーンズ、チェルシー、エヴァートンの3者の思惑が交錯する非常に難しい案件だが、何とか射止めてほしい。
・イヴァノビッチの扱い
昨シーズンは影のMVPと言えるほどの活躍を見せアンタッチャブルな存在だったイヴァノビッチだが、開幕早々から低調である。開幕から毎試合のように右サイドから失点し、アンタッチャブルから一転、スタメン落ちを求める声を聞くことが少なくない状況だ。
しかしながら、彼との契約は残り1年である。これが状況を難しくしている。チェルシーは30歳以上の選手に対し長期契約を提示せず、単年契約を提示しそれを毎年更新していく方針をとっている。これは安定を求める選手たちにはウケが悪く、案の定イヴァノビッチも難色を示したそうだ。そこで、チェルシーは副キャプテンというポストを彼に与えることで、目に見える形で彼がクラブに必要だということを示した。
この状況で、イヴァノビッチをレギュラーから外すことは彼との契約延長交渉が暗礁に乗り上げるというリスクを孕んでいるわけだ。今は低調な出来に終始しているが、CBとRBを高い水準でこなせ、セットプレーで重要なゴールをもたらすこともできるイヴァノビッチが必要な存在なのは間違いない。モウリーニョも彼を高く買っているだけに、難しい舵取りが求められている。
とりあえず、彼が復調することがチームにとって間違いなくベストなので早くトップフォームを取り戻してほしい。
・DFライン全体を見て
CBに関しては、JT・ケイヒル・ズマとイヴァノビッチのマルチロールで枚数は揃っているが、JTに陰りがみられてきたこととイヴァノビッチの極めて低調な出来が重なったためにクオリティの面でもう1枚補強したいところ。先述したストーンズがベストだが、ガライでも短期的な問題解決にはなりえる。
ただ、ズマの存在により競争が激化しているのはポジティブな一面だろう。現チームでポジション争いが存在する数少ない場所であり、競争はチームの活性化に繋がる。
昨季はこれに若手枠でクリステンセンがいたが、今季はアイナとクラーク=ソルターがトップチーム帯同となっている。彼らはクリステンセンと比べてしまうと落ちる印象であり、戦力としては計算しがたい。やはり、もう1枚加えられるとベストか。
SBに関しては、右がイヴァノビッチ・アスピリクエタ・ズマ、左がアスピリクエタ・ババ・ズマ・
そもそも、失点数の問題はDFラインだけに責任はないし、2ボランチのセスクマティッチが非常に酷いことも大きな要因の一つ。ただ、守備組織の改善がすぐにできることはないだろうし、433にするにもアンカータイプはミケルのみ。ガツンと大きな刺激を与えるにはやはり補強ということになるだろう。市場が締まる9月1日までの動きに期待するほかないのが現状か。