2015年8月30日日曜日

DFラインの話

・ジョン・ストーンズ問題

  チェルシーは6月からストーンズ獲得に動いており、4度のオファーを提出。ケイヒルやテリーなど選手やOBなどのコメントによってメディアもフルに利用し、獲得に全力を注いできた。しかし、全てのオファーを断られ、マルティネス監督はSkyの番組でメディア戦略に不満を露わにし、ケンライト会長直々に非売品だと宣言されてしまった。

 では、なぜここまでストーンズに執心なのだろうか。私は、この補強はストーンズでなくてはならないから、だと考える。
 ストーンズ獲得の名目は「JTの後継者」である。 英国産の高水準な能力を備えた有望株、彼を獲得することは、徐々に衰えゆくJTと伸び盛りのストーンズによる世代交代が可能になる。プランBと言われるガライは28歳であり、短期的に見れば選手層を厚くする補強となるが、長期的に見たとき世代交代を意味する補強ではなく問題を先送りするだけだ。さらに言えば、ストーンズクラスのCBが英国から(=ホームグロウンプレイヤーとして)次にいつ出てくるのか、という懸念も生じる。
 総合的に見れば、ストーンズ獲得は様々なニーズを満たす補強であり、多額の移籍金を費やしてでも獲得したい、ストーンズではなくてはならない補強ということになるのだ。

 また、移籍金が高騰する要因として、HG選手である他にバーンズリーが持つ移籍条項がある。ストーンズは2013年にバーンズリーからエヴァートンに移籍したが、この際に「次回移籍金の15%をバーンズリーが得る」という条項が存在すると報じられている。これが事実ならば、エヴァートンが4000万ポンドを得たい場合は約4700万ポンドが必要ということになる。

 ストーンズ本人は元々チェルシーへの移籍に前向きと報じられており、このチャンスを逃すまいとトランスファー・リクエストを提出した。ストーンズ、チェルシー、エヴァートンの3者の思惑が交錯する非常に難しい案件だが、何とか射止めてほしい。


・イヴァノビッチの扱い

 昨シーズンは影のMVPと言えるほどの活躍を見せアンタッチャブルな存在だったイヴァノビッチだが、開幕早々から低調である。開幕から毎試合のように右サイドから失点し、アンタッチャブルから一転、スタメン落ちを求める声を聞くことが少なくない状況だ。

 しかしながら、彼との契約は残り1年である。これが状況を難しくしている。チェルシーは30歳以上の選手に対し長期契約を提示せず、単年契約を提示しそれを毎年更新していく方針をとっている。これは安定を求める選手たちにはウケが悪く、案の定イヴァノビッチも難色を示したそうだ。そこで、チェルシーは副キャプテンというポストを彼に与えることで、目に見える形で彼がクラブに必要だということを示した。
 この状況で、イヴァノビッチをレギュラーから外すことは彼との契約延長交渉が暗礁に乗り上げるというリスクを孕んでいるわけだ。今は低調な出来に終始しているが、CBとRBを高い水準でこなせ、セットプレーで重要なゴールをもたらすこともできるイヴァノビッチが必要な存在なのは間違いない。モウリーニョも彼を高く買っているだけに、難しい舵取りが求められている。

 とりあえず、彼が復調することがチームにとって間違いなくベストなので早くトップフォームを取り戻してほしい。


・DFライン全体を見て

 CBに関しては、JT・ケイヒル・ズマとイヴァノビッチのマルチロールで枚数は揃っているが、JTに陰りがみられてきたこととイヴァノビッチの極めて低調な出来が重なったためにクオリティの面でもう1枚補強したいところ。先述したストーンズがベストだが、ガライでも短期的な問題解決にはなりえる。
 ただ、ズマの存在により競争が激化しているのはポジティブな一面だろう。現チームでポジション争いが存在する数少ない場所であり、競争はチームの活性化に繋がる。
 昨季はこれに若手枠でクリステンセンがいたが、今季はアイナとクラーク=ソルターがトップチーム帯同となっている。彼らはクリステンセンと比べてしまうと落ちる印象であり、戦力としては計算しがたい。やはり、もう1枚加えられるとベストか。

 SBに関しては、右がイヴァノビッチ・アスピリクエタ・ズマ、左がアスピリクエタ・ババ・ズマ・トラオレ。昨季のフィリペを考えれば分かるように、ターンオーバーに乏しいモウリーニョ下では枚数は足りている。ババができる限りチームに早く馴染み、アスピのマルチロールによってイヴァノ・アスピ・ババでの競争に期待したい。ここにRBもできるストーンズが加わればなお良いのだが…。

 そもそも、失点数の問題はDFラインだけに責任はないし、2ボランチのセスクマティッチが非常に酷いことも大きな要因の一つ。ただ、守備組織の改善がすぐにできることはないだろうし、433にするにもアンカータイプはミケルのみ。ガツンと大きな刺激を与えるにはやはり補強ということになるだろう。市場が締まる9月1日までの動きに期待するほかないのが現状か。

2015年8月29日土曜日

クロアチア代表メンバー招集(vsアゼルバイジャン、ノルウェー)

現地時間9/3に行われるアゼルバイジャン戦(EURO2016グループステージ、バクー)、9/6に行われるノルウェー戦(EURO2016グループステージ、オスロ)に向けて、代表メンバー24名が発表されました。

GK
ダニエル・スバシッチ(ASモナコ)
ロヴレ・カリニッチ(ハイドゥク・スプリト)
イヴァン・ヴァルギッチ(リエカ)

DF
ダリヨ・スルナ(シャフタール・ドネツク)
シメ・ヴルサリコ(サッスオーロ)
マルコ・レシュコヴィッチ(リエカ)
ヴェドラン・チョルルカ(ロコモティフ・モスクワ)
デヤン・ロヴレン(リヴァプール)
ドマゴイ・ヴィダ(ディナモ・キエフ)
ダニエル・プラニッチ(パナシナイコス)
マリン・レオヴァッツ(PAOK)

MF
ルカ・モドリッチ(レアル・マドリー)
イヴァン・ラキティッチ(バルセロナ)
マテオ・コヴァチッチ(レアル・マドリー)
ミラン・バデリ(フィオレンティーナ)
マルセロ・ブロゾヴィッチ(インテル)
ミヨ・ツァクタシュ(ハイドゥク・スプリト) 初召集

FW
マリオ・マンジュキッチ(ユヴェントス)
イヴィチャ・オリッチ(HSV)
イヴァン・ペリシッチ(ヴォルフスブルグ)
アンドレイ・クラマリッチ(レスターシティ)
ニコラ・カリニッチ(フィオレンティーナ)
アンテ・レビッチ(フィオレンティーナ)
マルコ・ピアツァ(ディナモ・ザグレブ)




前回からの変更は、ハイドゥクのツァクタシュがU21からA代表に初召集。負傷していたモドリッチとレシュコヴィッチが復帰。また、シムノヴィッチ(ディナモ・ザグレブ)、シルデンフェルド(ディナモ・ザグレブ)、イェドヴァイ(レヴァークーゼン)、トメチャク(リエカ)、ミリッチ(ハイドゥク・スプリト)、ハリロヴィッチ(スポルティング・ヒホン)、ヤヤロ(パレルモ)、パシャリッチ(ASモナコ)、ログ(ディナモ・ザグレブ)、シャルビーニ(リエカ)、シトゥム(スペツィア)、チョップ(マラガ)あたりが落選となりました。イェドヴァイは怪我の回復が思わしくないようです。

あとは、移籍期間中ということでコヴァチッチやマンジュキッチなど、少なくない数の選手が所属チームが変わっています。


ニコ・コヴァチ監督
「ハリロヴィッチ、パシャリッチ、ログ、シムノヴィッチといった若手はA代表に呼ぶことを考慮されるのに疑いない力を持った選手たちだが、同時に我々はU21代表チームのことも念頭に置かなくてはならない。U21が勝利でスタートすることは重要であり、その経験は選手たちにとっても有益だ。大多数のA代表選手もアンダー世代に大きな貢献を果たしてきた。」

「アゼルバイジャンとノルウェーには我々のホームでいいゲームをしたが、この2勝は忘れる必要がある。今回はより難しいものになる。アゼルバイジャンは同胞のプロシネチュキが新たに監督となり、いいチームを作っている。彼らの結果を見れば分かるだろう。私たちは高い能力を持ち合わせているが、それは我々のアプローチがプロフェッショナルかつ集中されたものでない限り発揮することができないんだ。」

「ノルウェー戦で得られるものを私たちは分かっている。EURO本戦出場は私たちの目標であり、1年前から取り組んできた。今のところは、いい仕事ができていると思うよ。だが、完遂させなくていけないし、今回も今までと変わることなくプレーしなくてはね。いい準備とチームスピリット、全力投球が必要だ。そうすれば、結果がついてくるさ。」

2015年8月12日水曜日

8/8 Chelsea vs Swansea

いつもより早い開幕戦。勝ちなしで臨んだ開幕戦。

チェルシー 2-2 スウォンジー @スタンフォード・ブリッジ
得点者:Oscar(23')、Ayew(29')、O.G.(30')、Gomis(55' PK)

GK:Courtois(退場 52')
DF:Ivanovic,Cahill,Terry,Azpilicueta
MF:Cesc(Zouma 76'),Matic,Willian(Falcao 84'),Oscar(Begovic 54'),Hazard
FW:Costa

Sub:Mikel,Ramires,Moses,Remy

クルトワ退場前までの約50分は、PSMとは一味違う、ちょっぴりの期待を抱かせるものだった。まず、動きの質そのものが違った。試合に向けてきっちりコンディション調整すればこれくらいはやれるのだと、少し安心した。

プレシーズン通して上積みが感じられないと述べてきたが、この試合からはオスカルの存在感にそれを感じることができた。ボールを引き出す動きに、アグレッシブなプレー選択。昨季までのチームのアクセントとなり、ゴールも決めてみせた。

ベゴヴィッチも、いきなり困難な状況でのデビューとなったが素晴らしかった。チームに勝ち点1を齎したのはまさしく彼だった。

クルトワの退場シーンについては、"決定機"かどうか騒がれてるが、あれを決定機阻止と見做さなかったら今以上に問題視されていたのは間違いない。細かいところでの疑問はあったものの、オリバーは終始上手く裁いていたと思う。

クルトワ退場後はスクランブル。かなり難しい試合になってしまった。点を捥ぎ取って欲しかったが、仕上がってないチームに10人で結果出せは少し酷な気もする。

気になったのはセルビア2人組。イヴァノビッチはモンテーロにやられっぱなし。副キャプテンなんだから、プレーでチームを引っ張らないと。

マティッチは前半からサボっていた。寄せない、軽い、戻らない。チェルシー復帰当初のガツガツした姿勢、求められたタスクを確実に遂行する意識、どこにいってしまったのかな。ベンフィカで今のプレーをしていたのなら、再獲得してなかったと思う。競争相手がおらず刺激が足りないのだろうか。残念だ。

期待を抱いただけに、11人の状態で90分見てみたかった。ただ、この期待はあくまでプレーシーズンで期待値が低下したことによる相対的なもの。オスカルはこれをフルシーズン続けられるか。セスクはまた後半戦バテるのか。コスタはどれだけピッチにいてくれるのか。不安は尽きない。

次はこのタイミングでシティ戦、引き分けで御の字だろうか。

----------
メディカルスタッフの件について。
モウリーニョの言い分は理解できるが、何もメディアを使うことはなかっただろう、と。一方で、ピッチ上の最高権力者はモウリーニョであり、エヴァさんもその意に背いてしまったことは非である。互いが互いをプロとしてリスペクトして、上手くチームワークを保っていられたらよかったのだけど。
ただ、エヴァさんが美人な女医であるとか、人気があるとか、この問題に関係ないところをバックボーンとした意見が散見されたのが残念だった。一面的な視点は怖いと改めて。
もっと上手くやってほしかったけど、大事になってしまった以上、早く収めてクラブとして前を向いてほしい。

2015年8月4日火曜日

8/1 Chelsea vs Arsenal

コミュニティーシールド、負けました。ちなみにCS制したチームがリーグ優勝したのは10/11のユナイテッドが最後みたい。

チェルシー 0-1 アーセナル @ウェンブリー
得点者:A. Oxlade-Chamberlain (24' assist by Walcott)

GK:Courtois
DF:Ivanovic,Cahill,Terry(Moses 82'),Azpilicueta(Zouma 69')
MF:Ramires(Oscar 54'),Matic,Willian,Cesc,Hazard
FW:Remy(Falcao HT)

Sub:Begovic,Mikel,Cuadrado


とりあえず、動きが重かったのは仕方ないところも。アメリカでトレーニングキャンプして帰国は水曜。試合も週2ペースでこのCSが4試合目。それにCSはおろか、開幕でもなくてもっとシーズンの後ろの方にピークが来るようにコンディション調整してるはず。

失点時にチェンバレンにかわされたアスピリクエタなんてその筆頭。23日のNYレッドブルズ戦に90分、26日のPSG戦も90分、29日のバルセロナ戦は62分出場。プレシーズンキャンプに加えて、フィリペがコパと移籍の関係でPSTに帯同しなかったためにレフトバックを3試合ほぼ1人で担当したわけで、そりゃ身体も重かろうと。十分なコンディションならもっとうまくやれたと思った。でも、チェンバレンは上手かったです。

他の選手たちも含めて、個々はこれから仕上がってくれればいいのではという印象。ただ、この敗戦が重く感じるのは、昨シーズンからの積み上げが感じられなかったから。勿論アーセナル相手に負けたこともあるのだけれども。

スタメン選びからそう。PSMで好印象のモーゼスあたりは試して良かったところで、蓋を開けてみれば昨季と変わらず。それも、セスク10番でラミレスをボランチに起用するガチガチ仕様。そこまでするなら、勝たなきゃ。

試合内容も昨季よく見たもの。熟成路線とか言えば聞こえはいいけれど、それで昨季CLはどうなりましたか、と。決定機も、良いクロスをラミレスがクリアしたやつと、アザールがふかしたやつと、オスカルのFKぐらいじゃないだろうか。チェフにもっと仕事をさせたかった。

ということで、全体通して選手たちよりも、移籍市場の動き方から感じていた首脳陣のアプローチへの不安が強まった試合でした。

移籍市場での振る舞いについても、今夏は"ONE IN - ONE OUT"で状況を変えるには獲得と放出がセット。ファルカオとベゴヴィッチはドログバとチェフの後釜。フィリペが抜けたところにはババが来る。他に獲得へ動いてるストーンズも、JTの後釜という位置づけで潜在的なone in-one outということ。

3列目のことがよく言われるし自分でも不満であるけれども、ミケルはモウリーニョの希望で移籍阻止。ラミレスは水面下で契約延長が進んでると言われてきてる。つまり、OUTがない以上は誰も来ない。一方で、ロフタス=チークについてモウリーニョは「たとえ試合に出れなくても、彼の成長にとっては我々とともにいるのがベスト」という姿勢なので、過度な期待はできない。結局は昨季と同じ4人で闘うということで、ここも現状は熟成路線。

モウ3シーズン目、大丈夫かな。