2014年3月6日木曜日

3/5 Switzerland vs Croatia

SUI 2-2 CRO @AFGアレーナ
得点者:Drmic(SUI 33'、41')、Olic(CRO 39'、54')

GK:スバシッチ
DF:スルナ、チョルルカ、ロヴレン(→シルデンフェルド 57')、プラニッチ
MF:マレシュ(→モドリッチ 56')、ラキティッチ(→ヴコイェヴィッチ 88')
      ペリシッチ(→ミリッチ 75')、コヴァチッチ(→エドゥアルド 56')、オリッチ
FW:イェラヴィッチ(→マンジュキッチ HT)

Sub:プレティコサ、ストリニッチ、ヴィダ

招集メンバーのうち、スイスに来たのは上記のメンバーだけのようです。多めに呼んだのは代表での撮影やブラジル行きに向けた予防接種等の関係だそう。また、レビッチやバデリは負傷していました。

試合を振り返ると、両チームとも前後半で違うチームとなってしまいました。スイスは前半がよく、主力を下げた後半は低調な出来に。クロアチアはその逆です。特にクロアチアはスコアには反映されていませんがモドリッチ投入前と後で出来が恐ろしく変わりました。

前半KO直後から、スイスは激しいプレスをかけてきて、クロアチアは終止バタついてしまいました。
クロアチアは後方からのビルドアップが全くできず、ボランチに預ける→サイドに渡す→クロス→弾かれるの単調な繰り返し。前線もイェラヴィッチは孤立、オリッチはただ走るだけで蹴ったと思ったらあさっての方向に。ペリシッチとコヴァチッチは迷子状態。
代表デビューとなったマレシュは長所である守備では貢献するも攻撃にはまったく関与できずゲームメイク能力の乏しさが露呈することに。その結果、ラキティッチが下がって組み立てるしかなく攻撃に厚みが出ません。ストロングポイントである右サイドもスルナがプレスを受け上がれない上にペリシッチが迷子で全く活きませんでした。
守備面でも、プレスで失ったボールを2ボランチの低い位置取りのせいでプレスがかからずうまく運ばれるケースが目立ちました。バイタルをいいように使われ、リヒトシュタイナーらのサイドからの飛び込みも非常に脅威に。シュートと決定機の波が押し寄せる中でスバシッチの好セーブもありなんとか凌ぐクロアチア。
前半は全くと言っていいほどクロアチアはスイスのプレスの前に成す術がありませんでした。コヴァチッチとプラニッチの左サイドでの連携からエリア内でペリシッチが受けた唯一と言っていい決定機も、力ないシュートは枠外へ消えていきました。

先制点はスイス、ハーフライン付近でプレスを受けたオリッチがマレシュに下げるもパスがずれ、マレシュはこれを処理できず。ドルミッチに奪われそのまま決められました、ロヴレンもあっさりかわされてしまいました。

クロアチアも6分後に追いつきます。イェラヴィッチがうまく落としたボールをオリッチがトラップミス、タッチラインを割りましたがなぜか判定はCK。このCKをゴール前でフリーで受けたオリッチが冷静に流し込みます。

しかし、その直後でした。DFからのロングボールを裏に抜け出したドルミッチが冷静に1対1を決め再びスイスが勝ち越します。ロヴレンとチョルルカはオフサイドをアピール、しかし左サイドでプラニッチが残っていました。何たる怠慢だ…。

後半になると、クロアチアはHTからほぼ何もできなかったイェラヴィッチに代えマンジュキッチを投入。スイスもシャキリとベーラミを下げます。コヴァチ監督はここでラキテッィッチに前へ出ろと指示を出したようで中盤を修正。攻撃時はマレシュをアンカーとしてコヴァチッチとラキティッチのインサイドハーフの433のような陣形に。

これが功を奏し、クロアチアに同点弾が生まれます。ラキテッィチが前に出たことでプレッシャーが軽減されたコヴァチッチが左サイドの裏へ素晴らしいパス。これを抜け出したオリッチがゴール右スミへ美しいフィニッシュでドッピエッタ。このゴールは素晴らしかったです。

その後はスイスはインレルとリヒトシュタイナーといった主力を交代。逆にクロアチアはモドリッチ、ドゥドゥといった主力を投入。ロヴレンも下がりましたが、これはセインツがフルで使わせてくれなかったんでしょう。ここからは一転クロアチアペースで試合が進んでいきました。主力が下がり運動量も落ちたスイスを尻目にモドリッチとラキティッチが試合を支配。特にモドリッチはボールを受ければ前へ運びキーパスを出すといった具合で圧巻のゲームメイクを見せました。

中盤でボールを持てたおかげでコヴァチ監督が好むサイド攻撃も活きてきました。右はスルナのオーバーラップ、左はプラニッチとオリッチの非常にいい連携が目立ちました。特に左は良かったです(右はペリシッチがイマイチすぎました)。オリッチのグラウンダークロスをマンジュキッチが合わせられずドゥドゥが詰めるもカットされるシーンや、モドリッチのスルーパスにマンジュキッチが抜け出すもGKに詰められ打てなかったシーンなど、決定機が続きました。

後半になってもいいとこなしのペリシッチを下げミリッチを入れた後は右サイドもやっと活性化。スルナのオーバーラップから精度の高いクロスも入るようになりました。逆にスイスは後半、決定機はなかったんじゃないかというくらいでした。交代出場のシルデンフェルドも安定した守備を披露し、ブラジル行きをアピール。

こうして、クロアチアがいい攻めをするも決めきれないまま試合終了、2-2のドローという結果に終わりました。前半はスイスが圧倒的によく、後半はクロアチアが優性という白黒はっきりしたゲームでした。

欧州PO2試合とこの試合を見て感じられるのは、コヴァチ監督は非常にサイド攻撃を重視しているんだな、ということです。
トップ下からのスルーパスをサイドハーフが裏へ抜けるパターン、SBとSH、ボランチorトップ下で崩して中に折り返すパターンなどやり方は様々ですがサイドからの展開が非常に目立ちます。特に、サイドを深くえぐったところに空いたバイタルめがけてマイナスのグラウンダークロス→飛び出してきた中盤がシュートという形は練習してきてるんだなと感じるシーンが目立ちました。マンジュキッチやイェラヴィッチといった空中戦で勝てるCFWがいることも強みなんでしょう。だからこそ、コヴァチ監督はボランチに守備的な選手を置かずモドリッチとラキティッチという展開力ある2人を起用しているのかな、なんて思いました。

さて、この試合でとにかく浮き彫りになったのは、前プレをかけてくる相手になにもできなかったこと。ゲームメイカーがラキティッチだけでは何もできませんでした。モドリッチの存在の大きさを改めて痛感する結果になってしまいました。代表デビューとなったマレシュには荷が重すぎる。バデリがいれば…と思う気持ちもひっそりと。

これで、W杯オープニングゲームのブラジル戦はどうするんでしょうか。ブラジルのスイスを超えた激しいプレスから縦に速いフットボールを相手に、クロアチアは太刀打ちできるのでしょうか。いい宿題を得たのではないかなと思います。

あとはW杯本戦に向けてポジション争い&メンバー争いが見物でした。
正GKプレティコサに代わってモナコで好調のスバシッチはフル出場。2失点ながら彼を責めるのは少しかわいそうな2失点でした。好セーブや安定したハイボールの処理もあり及第点でしょう。ただ、2点目の1対1はプレティコサなら止めてたかな?
ブラジル戦でサスペンションとなるマンジュキッチに代わるFW争いはドゥドゥに軍配。イェラヴィッチはハルシティに移籍して調子を上げてきていますが、やっぱり彼は2TOPであったりサポートがないと活きないストライカーでした。特に前半はチームの出来の悪さもあり何も残すことができませんでした。対して、ドゥドゥはマンジュキッチの後ろでシャドーストライカーとしてサイドに抜け出したりと躍動。コヴァチッチとのトップ下争いでも1歩先を行きそう。
レフトバックはプラニッチがストリニッチからレギュラーを奪取したと見ていい気もします。欧州POから3連続先発、守備面では不安なところを垣間見せるもストリニッチにはない積極的な攻撃参加で左サイドを活性化しました。「LBがウィークポイントだ」と言われたクロアチア代表にとっては嬉しい収穫です。
サイドハーフ争いはオリッチが結果を出し、ペリシッチは何もできず。交代出場のミリッチは好連携でメンバー入りを猛アピール。クラニチャールのいない中で明暗分かれる結果に。
守備的MF争いはマレシュ、ヴコイェヴィッチともに微妙な結果に。マレシュは初出場ながら守備ではいいところを見せるも失点に絡み、攻撃には全く関与できず。経験で勝るヴコイェヴィッチにはそもそもアピールする時間が足りな過ぎました。おそらく本戦に2人連れて行くことはないでしょう。どうなるでしょうかね。

W杯本戦前の最後のテストマッチでこのレベルの相手とやれたのは大きかったと思います。得たものは決して少なくない試合でした。


(おまけ)
オリッチは試合後のインタビューで以前から公言していたプレミアリーグへの憧れを再び口にしました。ストークと既に交渉中であり、来夏から加入するだろうと見られています。





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