2016年8月18日木曜日

CB補強の話

自分がここまで見てきた報道をまとめました。個人的備忘録と最後にちょっとした私感。


ここまでの経緯

チェルシーは2年連続でCBの補強に苦労している。

①2015夏~2016夏
 
 昨夏、クラブはジョン・ストーンズを唯一無二の絶対目標と定めた。4度にも及ぶオファーを提示し、メディアを使って相手方にストレスをかけ、ストーンズ本人にトランスファーリクエストを提出させるまでは成功したが、エバートンによる必死の抵抗の前に散った。結果、仏担当スカウトのヒリオンの推薦を受けパピージロボジを獲得という現場の意向とはかけ離れた補強に終わった。誰一人として補強できないという惨敗に終わった。
 冬にストーンズにリトライするという話もあったが、その半年でリーグチャンピオンから降格争いへとクラブの状況は様変わり、さらに14/15シーズンは赤字決算とリトライできる状況ではなくなってしまった。
 一方、その冬にはミアズガがやってきたが、これは単なる先物買いだった。冬はMLSがオフシーズンであり、かつ、そのシーズンでBreakout Player of the Yearに選ばれたというタイミングは、クラブが2013年から有望株としてマークしていたミアズガを買ううえでベストだっただけだ。本来は獲得後そのままローンになる選手、補強として扱われるべきものではなかった。
 ”オペレーション・ストーンズ”は失敗に終わった。さらに、ズマを膝の靭帯断裂という大怪我で失い、ガリーケイヒルは1流のCBとはもはや呼べない選手へ成り下がり、ジョンテリーの衰えを指摘する声はさらに強まった。新監督コンテに引き継がれたのは、この惨憺たる状況であった。

②2016夏~リュディガー破談まで~

 当然コンテはCB補強を要望した。コンテが就任当初提出した希望リストに含まれたとされた選手はボヌッチとマノラス。だが、普通に考えてボヌッチは非売品であり、早々に候補から外れた。
 マノラスは、非常に複雑な状況にあった。まず、並行してナインゴラン獲得へも動いており、プライオリティもそちらに置かれていた。ついで、ローマはFFPを満たすためにいずれかの選手売却が不可欠であった。一方で、ローマがマノラスを獲得した際に結んだ契約の付帯条項(次回移籍金の50%が前所属オリンピアコスに渡るというもの)が2016年9月1日まで有効であったために、今夏のマノラス売却がFFP問題解決に直結しなかった。さらに、DFの主軸であるマノラスの売却そのものにローマは否定的であった。
 一方で、クラブは未だにストーンズ獲得を諦めたわけではなかった。しかしながら、他クラブとの競争必死であった状況と、CB以外にも複数ポジションに補強が必要だったことから、クラブはマネーゲームに参戦しないことを決断。
 また、クラブはジェフリー・ブルマの再獲得へも動いた。コンテ自身がブルマに連絡をとったものの、ブルマはウォルフスブルク移籍を選択。買戻し条項もPSVとの契約延長時に失効しており、失敗に終わった。
 こうした中で、迅速かつ安価な決着を優先したクラブが選んだのは、アントニオ・リュディガーだった。ローマもFFPの影響からリュディガー売却には前向きだった。20m£程度の移籍金で決着目前まで到達し、他のポジションに割く時間と資金を確保したと思われた矢先に、リュディガー自身が膝の靱帯を断裂。このオペレーションも失敗に終わった。さらに、この怪我は同時にマノラス獲得をも困難にした。

③2016夏~クリバリへの転換~
 クラブは、CB補強を据え置き他ポジションへの補強を進めた。ストライカーの補強としてバチュアイを、ナインゴラン獲得に失敗した中盤にはカンテを獲得することに成功。さらにコンテもEUROを終えチームに合流し、本格的なスカッド厳選が始まった。
 そのうえで、コンテが希望したのは、スピードがありフィジカルに恵まれ、ある程度足下の精度を備えた選手。そしてピックアップされたのが、カリドゥ・クリバリだった。2度のオファーを提示するも、ナポリはいずれも拒否する必死の抵抗を見せる。さらにクリバリに高額のバイアウト条項が付帯する新契約を提示しようとするが、一方で代理人がクリバリ本人は退団希望と主張し、移籍もしくは好条件の新契約を勝ち取ろうと画策。それぞれの思惑が入り乱れる事態となった。


現状

①現有スカッド
 加齢による衰えと稼働率低下を指摘されるJT、明らかに衰えたケイヒル。ズマは予定を上回る回復速度を見せるも、まだまだ時間が必要とコンテと本人共に発言。イヴァノヴィッチはSBの層を考えればそちらに専念か。ヘクターとミアズガはローンに回り、控えはアカデミー卒のトモリのみ。

②クリバリ獲得作戦の状況
 新たに60m£(出来高含む)の再オファーをナポリに提示する話が浮上。この額は、ナポリが提示しようとしている新契約に付帯するバイアウト条項と同額とされる。
 コンテは、現有スカッドの精査とPSMを経たうえで、クリバリ獲得を最優先に設定。

③プランB
 報道に挙がったのは、マクシモビッチ(トリノ)、リンデレフ(ベンフィカ)、コネ(サンダランド)。ムスタフィに関してはむしろ否定的な報道が出ている。
 マクシモビッチは、ナポリのCB補強候補筆頭。移籍希望でトリノの練習無断欠席中。元ボランチで足下の技術に優れる一方で、『ネクスト・ヴィディッチ』と呼ばれるようマーキングにも長けているらしい。欠点は、身長の割にセットプレーでの得点が少ないことと、トップレベルでの圧倒的経験値の欠如。
 リンデレフは、スウェーデン代表としてEURO2016出場。RSBにも対応可能で、EUROではほとんどSBとして出場。25mのバイアウト条項持ちだが、ベンフィカはそれ以上のオファーを希望。代理人がメンデスで面倒くさい。
 コネは、昨冬にサンダランドに5m£で加入したコートジボワール代表の27歳。ウォルシュの進言でエバートンが獲得を狙い、17m£(3倍以上!)でオファーも拒否。マクシモビッチ同様に移籍希望で、トランスファーリクエスト提出済み。


私感

 クリバリは素晴らしい選手だと思うが、流石に高いと感じる。ナポリとしてもイグアイン売却により資金に困ることはなく、強気に出てしまわれているのは痛い。絶対的に補強が必要なポジションだけに、チェルシーとしても引くに引けなくなってしまっている。
 ただ、プランBの選手でクリバリに勝ると感じる選手がいないのが難しい。リンデレフはEUROを見た限り有望な選手だとは感じるが、現時点ではJT・ケイヒルとのポジション争いからというレベルに感じた。

 結果論だが、批判も多かったリュディガーの獲得により他に割く時間と資金を確保させることが最良だったのかもしれない。来夏には修行を積んだクリステンセンが戻ってくる(はず)であり、今夏はリーグ戦のみをポテンシャルの高いリュディガーを加えて凌げばよかったのではないかと今更感じてしまう。それだけに、怪我は非常に残念だった。
 だが、一方で今シーズンの群雄割拠のPLにおいて、リュディガーでCL権獲得までこぎつけられるのかと考えればやはり疑問符が残る。ともすると、やはりコンテの最優先希望であるクリバリにできる限り注力することがベターなのではないか。

 クリバリに60m£は高い。ジロボジが8m£で売れる狂ったキ○ガイ移籍市場とはいえ、高い。ただ、クリバリ獲得でCL権獲得に前進できるのなら話は別だと私は思う。CL権を獲得しさえすれば、グループリーグを勝ち抜くだけでも移籍金の半分は回収できる。それだけCL権獲得(とそれに伴う分配金)には価値がある。
 プランBの選手ではどうだろうか。彼らの獲得によってCL権獲得に近づいたと言えるだろうか。それに向かって戦える陣容になったと感じられるだろうか。フェルトンゲンとアルデルヴァイレルトに、スモーリングとバイリーに、ストーンズとコンパニに、そのスカッドで対抗できると感じられるだろうか。そう感じられる補強を、私はフロントにしてほしい。

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